富山で“犬OK賃貸”は、幻か伝説か。
さて、「自分の暮らしを持つ」と決めた私。
早速、富山での物件探しを始めてみたんですが……これが想像以上に難航。
まず、富山は持ち家率が全国トップクラス。賃貸需要がそんなにないのか?!1LDKくらいの一人暮らしサイズってすごく少ない。無駄に広い物件が多い。ちょうどいいサイズは家賃がなぜか関東とほぼ変わらない!(地方は安さがメリットでは??)
で! わたしの条件を整理すると、こうなる。
ワンルーム以上
富山市内(自分のこれからの職探しのしやすさや彼の実家に通いやすいこと)
駐車場2台付き(田舎アルアルの車社会ではこれ必須!彼が来たときに停めれるスペースはマスト)
家賃は現実範囲内(固定費の安さ!求めたい!)
……これ、魔法の条件リストですか?
スーモもアットホームも検索条件でがっつり絞ると、出てくるのは数件だけ。 なんなら0(ゼロ)という数字が踊る。
該当物件が出てきても、12LDKという謎に広すぎる古民家(何人で住むねん!誰が掃除すんねん!)や、犬にさえ申し訳ないレベルのボロ物件。
一瞬「これはもう、犬とテント生活か?」と本気で考えた。
しかも、“犬OK”と書いてあっても「小型犬1匹まで(吠えない子に限る)」とか「要相談(→実際はNG)」とか、なかなか現実は厳しい。

毎日賃貸物件の情報サイトを見続ける日々へ突入。
たったひとつ、心に刺さった家。
もう“古さ”は諦めるしかない。 でもその中で、奇跡のような物件がひとつだけ浮かび上がってきた。
築50年以上の平屋。2LDK。外観は「昭和の残像」だけど、中はしっかりリフォーム済み。 駐車場2台付き。駅も徒歩圏内。しかもペットOK! 家賃も想定内。

場所も、なんと富山市内。 富山県内いろいろ見たけど、やっぱり私にとっての優先度は彼の実家にも通いやすく、就職活動にも便利そうな富山市がベスト。
迷わず、内覧予約。まずはひとりで見に行ってみました。
建物を見て「うわ、攻めてる……!パンチ効いてる!!!」と一瞬ひるんだけど、中に入った瞬間

「あれ、住める。いや、むしろ住みたいかも」
と思ってしまった。
何より心を掴まれたのは、テラス。


洗濯物を干して、コーヒーを飲んで、犬がのんびり日向ぼっこする姿が頭に浮かぶ。素敵すぎるじゃないか!!!
もう、ここしかない!
あとは、彼にどう伝えるか。それだけだった。
正直な気持ちを、彼に伝えた。
内覧のあと、彼にすべて(第2話に書いた、私の心の葛藤もすべて)を話した。
・今の自分の気持ち(「あなたも一緒に暮らす部屋を二人で探すものだと思っていたこと」)
・愛犬を呼び寄せたいこと
・あなたが大好きで大切な存在であること
・まずは自分の居場所を持ち、心の安定を取り戻して仕事を探したいということ
そして、



「私が住む家なんだけど・・・
一人で決めるのではなく、あなたにも見て欲しいしあなたの意見も欲しい。」
と伝えた。
そして、その週の彼の休日である土曜に再び内覧予約をして、行ってみたら……
まさかの展開。
その物件、まさかの彼の職場が徒歩圏内だったのです!


「え、ここまで近いの?」「マジで?こんなことあるぅ????」「 これ運命?」 と2人でテンション上がる上がる。車で5分とかそういうレベルじゃない。「お昼休みに帰れる距離やん!」っていう近さ。
しかも、彼もこの物件を気に入っている様子。



「え、これはもう決まりじゃない!? 」
「ということは、仕事の帰りにすぐに彼が立ち寄れる家!最高の物件だ」
と、わたしの心の中ではもうすでに契約書にサインしていた(笑)。
私は“即決タイプ”、でも・・・彼は“じっくりタイプ”。



「もうこの物件で決まり!早く申し込みたい!」
と、私は前のめり。



「気に入ったけど、家は急いで決めるもんじゃないよ❤︎
すぐにあの物件は決まらないと思うし、もう少しじっくり考えよう」
と彼。
たしかに、それも正しい。
でも、私はもう心の中で家具を配置していたし、テラスで犬と過ごすイメトレも済んでいた。 引っ越し業者の見積もりサイトを開いていたのは、ここだけの話。
そして事件は、日曜の夜に突然勃発したのだった。
まさかの、家族会議勃発。
その日お風呂から上がって、リビングへ向かったわたし。空気がいつもと違う!不穏な空気が漂っている・・・これは只事ではない?!
彼もお父さんもお母さんも、なぜか正座モード。
いつもニコニコ笑顔のお父さんは険しい表情で「Toyamarikoさんは、どう思ってるんだね?」
……えっ、何の話??
聞けば、私がお風呂に入ってる間に“私たちの今後の結婚や関係について”の会議が開催されていたらしい。



「Toyamarikoちゃんを愛している。結婚じゃなくてパートナーとしての関係を築いていきたい」
と彼は話した。しかしお父さん、「このままの状態で集落をウロウロされても困る。男には責任がある。」「このままの二人の関係でここに置いておくわけにはいかない。」と真っ向衝突。
私は言葉に詰まりつつ、



「これから先は二人で、もちろんちゃんと考えていきたい。彼の気持ちも尊重したい」
と精一杯答えた。
沈黙が流れる中、
彼がふっと口を開いた。



「……わかった。
ちょうど部屋も探してたんだ。出ていくよ」
ご両親もびっくり。私も、もっともっとびっくり。
え、そんな急に一緒に住む方向になる!?


動揺MAX。
こうして、“私の暮らし”は“ふたりの暮らし”に変わった。
あれは「私の自立のための引っ越し先」のはずだった。
ところが、「ふたりの新しいスタートの場」に変わろうとしていた。
あの日の夜の家族会議は、彼のご両親の愛の会議だったんではないか?と今のわたしは思う。


人生って、時にびっくり仰天するくらい?!予想外で、そしてちょっぴり笑えて、でも温かいもの。
どこにどう根を張るか、どんな形で関係性を育ていくかは、いろんな奇跡や偶然や、そして周りの人たちの愛と”自分と相手を愛する気持ち”が折り重なって、少しずつ少しずつ形になっていくのかもしれない。
そしてあのとき、勇気を出して動いたからこそ、今ここにいる。
そう思えた、富山のある日でした。
次回、第4話は——
いよいよ新居での生活スタート!? 愛犬との再会なるか? そして、再び立ち上がる“仕事”の話も……。
引き続き、どうぞお楽しみに。
感想・共感・あなたの“家探し珍道中”があれば、ぜひ教えてくださいね!
ここまで読んでくれてありがとう!
LOVE Toyamariko
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