スローライフって、どこに売ってますか?

スローライフ

「農業っていいよね〜。自然の中で、のんびり土に触れて、大地を感じながら毎日を過ごせるなんて。憧れるわぁ

はい!わたしも思っていました。
そして、都会の友人たちも「うらやましーー」なんて言ってくれていました。

“農×スローライフ”・・・幻想(チーン)
痛む腰をさすりながら47歳の私は、ベッドから思わず叫びたい。

とやまりこ

「スローライフって、どこで買えますか!?Amazonですか!?楽天ですか!?ふるさと納税ですかーー!?」

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現実は、“中腰地獄”の筋トレライフ

理想は・・・・
朝は小鳥のさえずりで目覚めて、まずはテラスでコーヒーを飲みながら心地よく起床。
そして、畑で朝日を浴びながら背伸びする。
「あー今日も素敵な1日のはじまり」
畑の野菜たちに「おはよう声をかける。
水やりをして、太陽の光を浴びて深呼吸して・・・・まさにスローライフ。

しかし、現実は・・・
起きたらすぐに天気のアプリを複数確認して、チェック!
「今日は作業を進めなければ!よし!1日晴れてるぞーーー!」

朝6時に軽トラぶっ飛ばして畑へ直行。
畑に着くと、昨晩の強風でマルチがヒラヒラと揺れている。→「自然の力に脱力。。。はい!マルチ貼りをやり直し」
農薬はできるだけ使いたくない。。。しかし防虫ネットをくぐって虫が飛んでいる。→「この生命力の強さよ。。。あなた(虫)はどこから入ったの?」

そして、なんと言っても農作業って気付けばどの作業もほぼ中腰スタイルなんです。
腰はガチガチ。太ももはプルプル。ふくらはぎはパンパン。全身疲労感。

中学、高校とまともに運動部なんて入ったこともない筋力ゼロ!47歳のわたし!
そんなわたしは企業の農業部ではなく、もしかしたら「筋トレ部」に入社したのかも!?
そう!現実は”中腰地獄”の筋トレライフ!

地方(富山)には、週休二日(土日祝)なんて概念がない説

「地方はゆったりしてていいよね〜。これからの時代は地方でスローライフ
「年間休日120日くらいは欲しいよね〜。ワークライフバランスって大事

「旦那さまと休みを合わせたいから、土日祝休みは絶対!マスト!」

2回の結婚&離婚のわたしの実体験からすると、「休みのすれ違い=夫婦のすれ違い」
もちろん!いろんなタイプの夫婦がいるし、いろんな考えがあるから「お互い自由に」「離れ離れの方が良い」などなどパートナーシップのうまくいく法則なんて様々かと思います・・・なのでこれはあくまで、わたしの場合です。

ということで、、、わたしの転職の条件としては
1 土日祝が休み →旦那さまとお休みを合わせたい。ゆったり二人の休日を確保
2 年間休日はちゃんと確保したい →120日くらい当たり前では?スローペースで行きたい
3 No 残業 → 家事ができる時間的余裕が欲しい!できるだけおうち時間を大切にしたい!確保したい!
をTOP3に掲げていました・・・ 
がっ!しかし!!!この条件に合う会社が壊滅的になかった。。。。

そして、転職活動すればするほどわたしの願いはガラガラと音をたてて崩れていき・・・
そろそろ働かなければ・・・という勝手な自分への圧力をかけ始め、そしていろんな角度から妥協をして?!折り合いをつけて?!今の会社へ就職。
※そもそも農業は365日休みなしってことをこの時は・・・全く理解できていませんでした。(農家さんに深く謝罪します。。。)

【当時の今の会社の求人票に記載されていた内容】
●週休2日制 日・祝・その他(第2・第4土曜日) 
→つまり・・・月2回だけ土曜休み(2回でも旦那さまと一緒の連休がある・・・)
私:「2回だけでいいわけないだろう!!!」(本当のわたしは土日祝休みが希望。旦那さまと休みが一緒が良い。)
→週によっては6日連続勤務(やってみなきゃわからない・・・完全土日週休二日を探すのにも疲れた・・・)
私:「やってみなくてもわかってるはず。なんなら理想は週4日くらいしか働きたいくない。でもパートくらいの収入だと困る」(本当のわたしはやる前から週6日勤務なんて到底無理ってわかってる。週4で望む金額稼ぎたい。)
●年間休日 110日
→希望より10日も減・・・・(富山の人は真面目で働き者は噂ではなく!マジだ!!!)
私:「月の給料が変わらないんだから、休みは多い方が良い」(本当のわたしは自由な時間が欲しい。仕事ばかりは嫌だ)

週休二日ってなに?美味しいの?都市伝説かな?
「THE 昭和の24時間働けますか?」の時代に比べたら良くない?
日曜は休みなんでしょ?一緒の休みがあるじゃん!
家に帰って夕飯作る元気が絶対ナッシング。でも作らないなんて、さらに自己嫌悪だわ。

とりあえず、生きていかなきゃ!稼がなきゃ!
とりあえず、やってみたかった農業ができるんだし!OKでしょ!
自然豊かな場所で働けるんだから最高じゃん。
ええ?東京にいる時より休みが少ないなんて、全然スローライフじゃない!!!でも富山で転職考えたらこれが普通かも・・・みんな元気に大雪だって遅刻せずに出勤してるよーーー!!
富山の人に聞いても「土曜仕事の人普通に多いですよ」って言ってるしな・・・

ハッピーサタデー♪レイバーデー♪あーー世界の労働者に乾杯。

とやまりこ

本当は・・どんな働き方が理想なんでしたっけ?
何のために移住してきたんやっけな?
どんな暮らしがしたかったんだっけな?

想像以上に重かった。道具も期待も。腰にくる。

これまでイベント的な収穫体験や、ちょっとしたお手伝い程度しか畑経験がなかったわたしは、農業って「もっとのどかで自然と戯れる癒し系」だと思っていました。。。
1日農作業体験をさせてもらった時なんか「いつもと違う体を動かして汗をかくってなんだか、心も体もスッキリする!」なんて言ってました。
・・・しかし、それが毎日の業務となると癒し系とは真逆の、腰をいじめ倒すいわゆる筋トレハード系でした(笑)

以下、わたくしToyamarikoが身をもって体験した【畑のリアル:重量ランキング】を発表します。

1位:肥料袋(20kgが基本。腰が死ぬ)
20kgが基本の袋を軽トラックに積んだり、畑へ運んだりなんて日常。
男性スタッフがヒョイっと2袋持ち上げる横で、わたしは赤ちゃんを抱き抱えるのように肥料袋を両手で抱えておイッチニおイッチニ・・・やっとの思いで運ぶ。時間が倍以上かかる。。。
早く運ぼうと、負けるまいと勢いだけで「よいしょ」と、気合いで持ち上げ続けると身体の反乱が始まります。

2位:草刈機(意外と重い・うるさい・振動がえぐい)
肩からぶら下げると楽な姿勢を探しましょう。自分のベストポジションを探すのが難しいよ。エンジン音はやる気も吹き飛ばす爆音。そして草刈りの時期は暑くて灼熱地獄です・・・振動が内臓まで響いて、「あたし、何の修行中?」と遠い目に。

3位:収穫コンテナ(1個で8〜10kg。畑から軽トラまで往復回数が半端ない)
コンテナを両手に持って、畑を何往復も…。泥付きはさらに重さ増し増し。雨の日の収穫作業はさらに最悪です。
でもでも、愛情かけて育てた野菜の収穫は嬉しい。コンテナいっぱいの野菜たちに笑みが溢れます。
ああああー、畑から軽トラまで自動ベルトコンベアで運ばれてくれたらと何度夢を見たことか。。。

4位:鍬(地味に重いし、姿勢が腰にくる)
見た目は地味。でも、地面にグサッと突き刺してるうちに、腰と太もも、身体全体ににジワジワくるやつ。
地味こそ最強。1日使った後は、翌朝スロー再生の人間が誕生します。

5位:期待とプレッシャー(精神的に圧がすごい)
「頼りにしてるよ」「元気になった?」「復帰を待ってます」「ゆっくり休んでね」
…その言葉、やさしさと一緒に重力も乗ってるのかもしれない。。。
身体の痛みより、じわじわくるやつ。知らぬ間に背負ってた“見えない荷物”が一番重かったりする。

農業って、身体だけじゃなく心も鍛えるフルコース
でもこの重みの中で、「つくる喜び」「育てる喜び」そして、「生きてるなぁ」と実感するのも事実。

やっぱり自然は優しくて尊い

肉体的にしんどいことも沢山あるけれど、それでも畑にいると救われるときがあります。
早朝の畑、立山と澄んだ空気に思わず「しあわせ」と呟くほど。

種を蒔いて、芽が出て、やがて実がなる。
人間がコントロールできることなんて、本当にしれている。自然の偉大さと素晴らしさを実感する。
畑での時間の流れは、せかせかした都会やオフィスでは決して味わえないと思う。

思い通りにいかないことばかりだし、ふとすれば効率ばかりを考えていた自分に出くわしては「ハッ」っとする。それでも土と向き合う時間、大地に触れる時間は、私が最も苦手とする「待つ」という感覚を少し教えてくれた気がします。

頑張っても報われないこともある。
でも、やっていれば(行動していれば)、少しずつ芽が出る。
本当にベストなタイミングで。
それぞれのベストタイミングで。

それって、人生と一緒かもしれない。

今日の腰痛と明日のコーヒーのあいだにある幸せ


だからやっぱり、
スローライフって、どこに売ってますか?」って言いたくなる。

だって、想像してた“理想のスローライフ”とは、あまりにも違う現実がここにあるから。
(まぁ今は腰が痛くて全ての行動がスロー、ある意味スローライフ中ですが・・・(苦笑)。)

でも最近、こうも思うんです。
緑の中で朝ヨガして、オーガニックの野菜とフルーツのスムージー飲んで、手作り味噌と自然のめぐみのランチ食べて…そういうのもいいけど、腰が痛くてうまく動けない日も「今日も、生きてるなぁ」とゆっくりと感じられるということ。

もしかしてスローライフって、
**「どこかにあるもの」じゃなくて、「今いる場所で自分でつくるもの(意識するもの)」**なのかもしれない。

どんなに忙しくても、
仕事帰りの道でふと見上げた空がきれいだったり。
家に帰って、旦那さんと「おつかれさま」って缶ビールで乾杯!笑い合えた瞬間だったり。
慌ただしい朝も、せめてコーヒーだけはゆっくり淹れてみたり。
ちょっとお風呂上がりに1枚顔にパックをペタッと貼り付けてみたり。

それって、ほんの少しだけど「スロー」の種(意識)なんじゃないかって。

都会で買えるものでも、Amazonのタイムセールで手に入るものでもなくて、
誰かのキラキラInstagramの投稿の中にあるものでもなくて、
土にまみれたり、泣いたり笑ったり、膝をついたり、立ち上がったりしてる中で、
自分で少しずつ、育てていくものなのかもしれない。

今日も腰は痛いけど、
どこかで芽が出てる気がするのです。。。。わたしの「ほんとうのスローライフ」。

スローライフ

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この記事を書いた人

『とやまりこ』編集人。血液型B型。長女。
2度の結婚&離婚を経験、人生山あり谷あり、ジェットコースターのよう。
残りの人生で「やっぱり真実の愛に向き合いたい」と一念発起!
懲りずに45歳で婚活を再開始!!!猛活動の末、46歳で現在の旦那さまと出会いお付き合い開始。
大好きだった湘南・鎌倉から旦那さまの故郷「富山県」に2024年3月Uターン移住。
2024年8月大好きな旦那さまと結婚、現在は愛犬のくうちゃんと3人暮らし。

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